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Vol.87
放し飼い |
2025年7月5日 |
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私達が「放し飼い」と聞いて思い浮かぶのは、牛、馬、鶏等の家畜ですが、
10数年前にNHKが放送した東京都三鷹市のグループホームを取材したドキュメンタリー番組で、ホームで暮らす老女が、「ここは自由に生活でき、難し
い規則が無い。私達は放し飼い」と言って笑っていました。
当時、人間社会の中で初めて「放し飼い」という言葉に接した為、強い印象として残りました。
考えてみれば、小学生当時の私は正に放し飼いの状態でした。学校から帰
ると四季折々の遊びに夢中で、夕方家に帰って食事が済むと、遊び疲れで風呂を最後にバタンキューです。
戦後の疎開先として過ごした我が家は千葉県の田舎町で、近くを利根川が流れ、山もあれば田んぼもあって、遊びの対象は数えきれない程です。
父は町の助役で忙しく、母は畳工場を経営してやはり忙しく、私は父母から「勉強しろ」と言われたことがありません。これが良かったのか悪かったのかは分かりませんが、80歳を過ぎた現在でも、小学校5年生までの生活の楽しさは、強い思い出として心に居座っています。
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了 |
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菅谷 勝
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